【しちじゅうにこう】
【暦】
古代中国で考案された季節を表す方式のひとつ。二十四節気をさらに初侯・次候・末候のそれぞれ約5日ずつに分けた期間。
当初の名称は中国読みであったが、日本の時候に適さないため渋川春海が貞享2年(1685)に貞享暦を制定した際に日本語読みに置き換えて設えた。
季節の風物詩となる語を盛り込んではいるが、いかんせん北の地の秋田では擦り合わない言葉も多い。特に冬。
2月の秋田なんざバリバリ厳冬期で氷が動く余地もあらしまへんがな。
ここでは宝暦暦以降に現代に定着した七十二候を紹介する。
【立春】
- 東風解凍(はるかぜ こおりをとく)
〖2月4日~8日頃〗
春風が氷を解かす…が秋田ではまだまだ寒い。 - 黄鶯睍睆(うぐいす なく、こうおう けんかんす)
〖2月9日~13日頃〗
ウグイスが鳴き始める…が秋田ではまだまだ(略) - 魚氷上(うお こおりにのぼる)
〖2月14日~18日頃〗
魚が割れた氷から飛び出す…が秋田では(略)
【雨水】
- 土脈潤起(つちのしょう うるおい おこる)
〖2月19日~23日頃〗
雨土が湿り気を帯びる。秋田では雨どころか根雪で土が見えるどころではない。 - 霞始靆(かすみはじめてたなびく)
〖2月24日~28日頃〗
霞がたなびきはじめる。 - 草木萌動(そうもくめばえいずる)
〖3月1日~5日頃〗
草木が芽吹きはじめる。バッケ(フキノトウ)の芽をそろそろ。
【啓蟄】
- 蟄虫啓戸(ちっちゅう こ をひらく)
〖3月6日~10日頃〗
冬ごもりの虫が土から出てくる。 - 桃始笑(もも はじめてわらう)
〖3月11日~15日頃〗
桃の花が咲き始める。秋田では雪解けが始まる。 - 菜虫化蝶(なむし ちょうとなる)
〖3月16日~20日頃〗
紋白蝶が羽化する。道路の雪が中途半端に解けて路面が最悪の季節。
【春分】
- 雀始巣(すずめ はじめてすくう)
〖3月21日~25日頃〗
スズメの巣作りが始まる。 - 桜始開(さくら はじめてひらく)
〖3月26日~30日頃〗
桜が咲き始める。秋田ではにかほ市あたりが桜前線が早い…かな? - 雷乃発声(らい すなわち こえをはっす)
〖3月31日~4月4日頃〗
春雷。
【清明】
- 玄鳥至(げんちょう いたる)
〖4月5日~9日頃〗
『玄鳥』とはツバメの異名。ツバメの南下。 - 鴻雁北(こうがん きたす)
〖4月10日~14日頃〗
雁(ガン)が北へ渡去する。白鳥の群れもよく見る。 - 虹始見(にじ はじめてあらわる)
〖4月15日~19日頃〗
名前のまんま。春雨。
【穀雨】
- 葭始生(よし はじめてしょうず)
〖4月20日~24日頃〗
ヨシとは河岸などに生えている雑草のこと。 - 霜止出苗(しも やんで なえいず)
〖4月25日~29日頃〗
霜が収まって苗代の稲が育つ頃。田植えが近い。 - 牡丹華(ぼたん はなさく)
〖4月3日~5月4日頃〗
牡丹の花が咲く。芍薬と似てるので注意。
【立夏】
- 蛙始鳴(かえる はじめてなく)
〖5月5日~9日頃〗
カエルが鳴き始める。夜の田んぼのカエルの大合唱は聴き慣れると心地がよい。 - 蚯蚓引(みみず いずる、きゅういん いずる)
〖5月10日~14日頃〗
ミミズが地上に這い出る。ミミズは豊かな土壌を作ってくれる益虫である。 - 竹笋生(たけのこ しょうず)
〖5月15日~19日頃〗
タケノコが生えはじめる。山は山菜採りのご婦人で賑わう。
【小満】
- 蚕起食桑(かいこおこってくわをくらう)
〖5月20日~25日頃〗
カイコが盛んに桑の葉を食べ始める。 - 紅花栄(べにばなさかう)
〖5月26日~30日頃〗
ベニバナが咲く季節。主に山形県で見られる。 - 麦秋生(むぎのときいたる)
〖5月31日~6月4日頃〗
春麦の収穫の季節。大潟村で生育が盛んである。
【芒種】
- 蟷螂生(かまきり しょうず)
〖6月5日~9日頃〗
カマキリが生まれる。 - 腐草為蛍(くされたる くさ ほたるとなる)
〖6月10日~15日頃〗
腐った草からホタルが現れる。 - 梅子黄(うめのみ きばむ)
〖6月16日~20日頃〗
梅の実が黄色く熟す。
【夏至】
- 乃東枯(ないとう かるる)
〖6月21日~25日頃〗
『乃東(なつくさ)』とはウツボグサの事を指す。生薬。 - 菖蒲華(あやめ はなさく)
〖6月26日~30日頃〗
アヤメが咲き始める。 - 半夏生(はんげしょうず)
〖7月1日~5日頃〗
『半夏』とはカラスビシャクの事を指す。雑節とかぶる。
【小暑】
- 温風至(おんぷう いたる、あつかぜ いたる)
〖7月6日~11日頃〗
温かい風が吹き始める。 - 蓮始華(はす はじめて はなさく)
〖7月12日~16日頃〗
ハスの花が咲き始める。秋田市の千秋公園の蓮が見頃。 - 鷹乃学習(たか すなわち がくしゅうす)
〖7月17日~21日頃〗
今年生まれた若鷹が飛翔の練習を始める。独り立ちの時期。
【大暑】
- 桐始結花(きり はじめて はなをむすぶ)
〖7月22日~26日頃〗
桐の花が結実する。 - 土潤溽暑(つち うるおうて むしあつし)
〖7月27日~8月1日頃〗
土が湿り蒸し暑くなる。 - 大雨時行(たいう ときどきに ふる)
〖8月2日~6日頃〗
大雨が時に降る。近年はゲリラ豪雨も頻発するようになった。
【立秋】
- 涼風至(りょうふう いたる、すづかぜ いたる)
〖8月7日~11日頃〗
涼しい風が立ち始める。 - 寒蝉鳴(ひぐらし なく)
〖8月12日~16日頃〗
ヒグラシが鳴き始める。 - 蒙霧升降(ふかき きり まとう)
〖8月17日~21日頃〗
濃い霧が立ち込め始める。
【処暑】
- 綿柎開(わたのはな しべ ひらく、めんぷ ひらく)
〖8月22日~27日頃〗
ワタの萼(がく)が開き始める。 - 天地始粛(てんち はじめて さむし)
〖8月28日~9月1日頃〗
暑さがようやく鎮まる…とも限るまいて。 - 禾乃登(こくもの すなわち みのる)
〖9月2日~6日頃〗
穀物が実る。収穫の季節。
【白露】
- 草露白(くさのつゆ しろし)
〖9月7日~11日頃〗
草の露が白く見える。 - 鶺鴒鳴(せきれい なく)
〖9月12日~16日頃〗
セキレイが鳴き始める。コンビニの駐車場とかでよく見る。 - 玄鳥去(つばめ さる、げんちょう さる)
〖9月17日~21日頃〗
ツバメが南下する。
【秋分】
- 雷乃収声(かみなり すなわち こえをおさむ)
〖9月22日~27日頃〗
雷鳴が聞こえなくなる。 - 蟄虫坏戸(むしかくれて とをふさぐ、ちっちゅう こを はいす)
〖9月28日~10月2日頃〗
土の中に住む虫が越冬に入る。 - 水始涸(みず はじめて かれる)
〖10月3日~7日頃〗
水田の水を抜かれる。
【寒露】
- 鴻雁来(こうがん きたる)
〖10月8日~12日頃〗
ガンが渡来し始める。 - 菊花開(きくのはな ひらく)
〖10月13日~17日頃〗
キクの花が咲き始める。横手で菊祭りが行われる。 - 蟋蟀在戸(きりぎりす とにあり)
〖10月18日~22日頃〗
キリギリスが家の中で鳴き始める。なかなかうるさい。
【霜降】
- 霜始降(しも はじめて ふる)
〖10月23日~27日頃〗
霜が降り始める。 - 霎時施(こさめ ときどき ふる)
〖10月28日~11月1日頃〗
小雨がしとしと降るようになる。 -
楓蔦黄(もみじ つた きばむ)〖11月2日~6日頃〗
モミジやツタの紅葉が始まる。
【立冬】
- 山茶始開(つばき はじめて ひらく)
〖11月7日~11日頃〗
サザンカの花が咲き始める。 - 地始凍(ち はじめて こおる)
〖11月12日~16日頃〗
大地が凍り始める。 - 金盞香(きんせんか さく)
〖11月17日~21日頃〗
スイセンの花が咲き始める。
【小雪】
- 虹蔵不見(にじ かくれて みえず)
〖11月22日~26日頃〗
虹が現れなくなる。 - 朔風払葉(きたかぜ このはを はらう)
〖11月27日~12月1日頃〗
北風が葉を払いのける。 - 橘始黄(たちばなは じめてきばむ)
〖12月2日~6日頃〗
タチバナの実が黄色く色づき始める。
【大雪】
- 閉塞成冬(そら さむく ふゆとなる)
〖12月7日~10日頃〗
天と地が寒がり真冬になる。 - 芹熊蟄(くま あなにこもる)
〖12月11日~15日頃〗
熊が冬眠のために穴に篭る。しかし近年の熊被害率は異常。 - 鱖魚群(さけのうお むらがる)
〖12月16日~20日頃〗
鮭が群がり川を上る。
【冬至】
- 乃東生(なつかれくさ しょうす)
〖12月21日~25日頃〗
ウツボグサが芽を出す。 - 麋角解(さわしかの つの おつる、びかくげす)
〖12月26日~30日頃〗
シカが角を落とし始める。 - 雪下出麦(ゆきくだり てむぎ のびる)
〖12月日~1月4日頃〗
麦が雪の下で芽を出す。
【小寒】
- 芹乃栄(せり すなわち さかう)
〖1月5日~9日頃〗
セリがよく育つ。雪中の畑から掘り起こす様子は冬の風物詩。 - 水泉動(すいせん うごく)
〖1月10日~14日頃〗
凍った泉が動き始める。 - 雉始鳴(きじ はじめてなく)
〖1月15日~19日頃〗
オスのキジが鳴き始める。
【大寒】
- 款冬華(かんとう はなさく)
〖1月20日~24日頃〗
バッケ(フキノトウ)の蕾が出る。 - 水沢腹堅(さわみず こおりはじめる)
〖1月25日~29日〗
水沢が結氷し始める。 - 鶏始乳(にわとり はじめて にゅうす)
〖1月30日~2月3日頃〗
ニワトリが卵を産み始める。
◆参考書籍
最終更新:2024/09/12
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