あぐりこさん

あぐりこ神社(元稲田稲荷神社)

あぐりこじんじゃ/げんどうだいなりじんじゃ

雄勝郡羽後町杉宮元稲田

 

最終更新:2024/1/29


🦊⛩️菅江真澄の道

真澄記:

 元稲田神社の由来を記す。

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 創建は不明なれど、元は三輪神社の境内に末社としてあり、延宝8年(1680)以前には現在地に遷されたものと思われる。

また正徳5年(1715)に正一位稲荷大明神の官位を受領した。 

現在の社殿は文政13年(1830)、前吉祥院七十二世快恭が大願主となり建立したと棟札に書かれている。 

《雪の出羽路雄勝郡、境内由緒より》

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◆元稲田神社 由緒

  • 創建:不明
  • 御祭神:豊受比売命(トヨウケヒメノミコト)
  • 例祭日:2月初午(旧暦)
  • 御利益:五穀豊穣、商売繁盛、安産、諸願成就
  • 通称:あぐりこ神社

 当神社には『あぐりこさん(安具理子)』という神狐の話が伝わっている。

強力な神通力と多数の狐を従える神威にて、数多くのエピソードが伝えられている。

⊞ あぐりこ伝説・名前の由来

 

 あぐりこ=『もう飽きてしまった』の意味があるそうで、男子が欲しいと願うものは、この神社にお参りすれば叶えられるという。

 

何故ならあぐりこは女のキツネで、たくさん女子ばかり産み続けもう飽きてしまった、という事でお祈りするときに「あぐりこあぐりこ」と唱えれば必ず男の子が生まれるという。

 

⊞ あぐりこ伝説・あぐりこVS福泉坊

 

 幡野の倉内に、『福泉坊』という山伏が住んでいた。

代々伝わる珍しいホラ貝を持ち、ホラ貝に酒を入れてやれば赤くなり、なんとも言えない良い音を出すと言われた。

 

 福泉坊が元稲田の前に立ち寄ると1匹のキツネがおり、坊は悪戯心でキツネの耳元でホラ貝を鳴らして驚かせた。

慌て逃げ去るキツネを見て坊は大笑いして帰ったがその午後、また稲荷神社の前を通ると急に西も東も分からぬ闇夜になってしまった。

驚いた福泉坊が四方を見渡すと、向こうに小さく燃える火の玉が見えた。火の玉はだんだん大きくなって火の中から広い着物の老婆が現れ、からだじゅうが燃え上がり目から口から火を吐いて福泉坊にかかってきた。

 あまりの恐ろしさに坊は逃げ、西の一里塚のスモモの木によじ登り、落ちて尻餅をついた。

これは昼間驚かされたあぐりこの幻術による逆襲だった。

 

 

山伏が妖に化かされたとあっては面目丸潰れだ。福泉坊は村の笑い者になってしまったのだった。

 

⊞ あぐりこ伝説・聞き覚えのない侍

 

 天明5年(1785)に神社を建てた時、神前にキツネの石造を建てようと快孝法印が湯沢の三蔵という石工に依頼した。

 正月20日に元稲田神社からの使者と名乗った二本差しの立派な武士が三蔵の家を訪ねてきて、初午の祭までに仕上げてほしいと礼を尽くして催促してきた。

その武士はまた28日にも来て催促して行ったので、三蔵は急いで仕事して祭りの前日に作り上げた。

 

 

 後で神社に問い質すと、一度も催促した覚えがないというので不思議がった。これもあぐりこの仕業ではなかろうかと杉宮の人々は語り合ったという。

 

 これに関係してか湯沢市関口にあるさんこ稲荷神社境内には元稲田神社の碑が建立されている。

 

⊞ 真澄記・あぐりこの配下《真澄記 雪の出羽路雄勝郡》

 

 あぐりこはキツネの女王で、仕える狐はたくさんいた。

百姓の手助け、ネズミよけなどみなあぐりこ一味の働きによるものだ。

真澄の地誌にその名前と特徴が列挙されている。

  • 雷堂の髭長(♂)
  • 傳仏野の祖父悪九郎(♂)
  • 大樋の五郎麻呂(♂)
  • 大堀の迦須子(♀、糟子とも)
  • 柏原の匍匐松子(♀、はひまつこ)
  • 袖鳥居野の甚太五郎(♂)
  • 高幅野の甚九郎(♂)
  • 中島の左衛門四郎(♂、田畑を荒らす野鼠から守護する稲荷)

 

 

その他にもいといと多し。

 

⊞ 真澄記・ムカデ塚《真澄記 雪の出羽路雄勝郡》

 

 元稲田神社の西側に大ムカデが棲みついていた。

この大ムカデは狐の子を好んで喰らうため、あぐりこさんは恐れをなして西馬音内の堀に逃げ隠れてしまう。なおも大ムカデは追い回し、ついには御嶽山を乗っ取ってしまった。

 

 文化5年(1808)、落雷で御嶽神社が焼け落ちた時、大ムカデの骨が出土したと伝わる。

 

さすがのあぐりこさんにも苦手なものがあるようだ。

 



アクセス
  • 駐車場:あり
  • 案内板:なし

関連アーカイブ

でわwiki関連リンク
  • 杉宮村
  • 三輪神社
  • 関口村

◆参考文献


取材日:2018/08/08

【瀬川 拓男 (編集), 松谷 みよ子 (編集)/未来社】
【木崎 和広 (編集)】