【あきたさんけい】
【家禽】
大館市を中心に生息生存されている日本鶏。天然記念物。
【声良鶏】
国指定天然記念物 昭和12年12月指定
高知県の東天紅鶏、新潟県の唐丸とともに日本三大長鳴鶏のひとつ。
鳴き方は出し・付け・張り・引き・止め(引落し)の音律が一連の歌詞になっている。
鳴き声は渋く落ち着いた発声で始まり、長く伸ばしながら次第に張り上げ、やがて音程を下げつつ、引きの一声でかなで、低く止めを発して終わる。
15~20秒の間の鳴き声が普通だが、まれに20秒を超えて鳴く鶏もあるという。
標準的な身長は75cm、体重は5kg前後、日本の鶏としては大型に属し、均整のとれた美しい体型をしている。
太いくちばし、頭頂部中央の三枚冠、大きく鋭い眼、発達して袋状になった咽喉部、幅広で背に豊かな蓑羽、尾羽、黄色で長い足、三列に連なる脚鱗などが特徴で、羽色は白柏が普通であるが、ほかに黒柏、黄柏などが見られる。
【比内鶏】
国指定天然記念物 昭和17年12月指定
米代川流域で飼われていた鶏である。
性質は勇壮、活発、機敏で、立木の枝から枝へ飛び渡り、しかも相当長い距離をとぶ。夜間には立木の高枝を止まり木にすることもあり、卵や雛を狙う外敵に敢然と立ち向かう姿は、まさに野鶏そのものである。
胸を張り、尾羽を持ち上げた姿は、短い黄色の脚でまとまり、全体が優美なV字型となる。とりわけ美しい姿の雄は、トサカと呼ばれる三枚冠と顔面があざやかな赤色をなし、後頭部から胸、背にかけて赤笹と呼ぶ赤褐色の羽毛が特徴である。
標準的な体重は2歳の雄で2.7kg、雌で1.9kgである。
比内鶏の一番大きな特色は、風味と香気をそなえた肉の優れた味にある。旧藩時代、藩主に年貢として納めたと記録にある。
肉の組織、脂肪の具合が野生のヤマドリに似て、噛みしめるほど味が出てくる。
郷土料理きりたんぽに欠かせない存在であるが、現在、食用としているのは、比内鶏原種の父親と、アメリカ産ロード・アイランド・レッドの母親との一代交雑種で、比内地鶏と呼ばれる鶏である。
【金八鶏(きんぱどり)】
国指定天然記念物 昭和34年1月指定
大館地方に古くから生息していた比内鶏と軍鶏との交配によって誕生したのが、闘鶏としての資質が高い金八鶏である。
鶏博士山田定治氏の研究によれば、金八鶏が作られたのは江戸時代後期の頃とされ、作出者は大館町河原町に住む魚屋の金八氏であったという。
この突然変異的な作出鶏を基礎鶏として改良が進められ、明治時代後期に現在見られる羽色と体型となった。
標準的な体長は39cm、体重は雄で1.7kg、雌で1.2kgである。
羽色は光沢のある黒藍色が最高とされ、次ぐのが黒紫色であるという。
体型は頭が大きく、額が太く、胸から脚にかけて垂直なイの字型で、尾羽は短くエビ尾状に開く。
金赤色の大きな眼、太く短い湾曲をしたくちばし、長く太い腿と脛などは、いかにも闘鶏らしい勇猛さが漂っている。
闘争性に優れケンカっ早いことから短気者の金八氏にあやかり名付けられた。
◆参考文献
- 大館郷土博物館(秋田三鶏記念館)
- 桂城の日本鶏/山田定治 著
- 各種説明板
最終更新:2024/07/13
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