【ばんじばんざふろう】
【伝説】
厳密には秋田県内での伝説ではないが、
秋田のマタギ文化を知る上で欠かすことのできない発祥の物語。
荒ぶる神を退治した事で日の本のどこでも狩猟を許されたという『万事万三郎』が諸方のマタギのルーツと伝わる。
●万事万三郎
盤司万三郎、萬事萬三郎、万治万次郎とも書く。
日光権現に赤城明神の退治を依頼されたこの青年は、託された2本の神通力の矢で赤城明神の目を射抜き、褒美に全国どこでも狩猟免除の永久パス権を得た。
全国を狩りして旅した後、阿仁の荒瀬に移り住んだと云われる。
◾️赤城明神
上野国(長野県)の赤城山に祀られる荒ぶる神。
日光権現との闘いでは大蛇(大ムカデ)に化けて猛威を振るったとされる。
雷や強風『赤城颪(あかぎおろし)』を操る。
国定忠治など上州渡世を生んだ血気盛んな性分。
◾️日光権現
下野国(栃木県)の日光二荒山に祀られる神。
麓の中禅寺湖の所領をめぐって赤城明神と対立したが敗退。
万事万三郎に二本の矢を授けて退治を依頼。
万三郎に会った時は白い鹿に変化したと伝わる。
・山形県には怠け者の『盤司』と働き者の『万三郎』の兄弟の話が伝わっており、山形市の立石寺には万三郎の像が建立されている。
・阿仁の露熊山峡には、万三郎が最期に石に変化したというマタギ石の伝説がある。
・宮城県名取川に『輓司岩』という柱状節理がある。
◆参考文献
- 国立国会図書館デジタルコレクション
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- 陸前浜乃法印神楽
- 日本の伝説2 東北/監修 日本伝説拾遺会
- マタギ聞き書き その狩猟と怪異譚/武藤鉄城
- 消えた山人 昭和の伝統マタギ/千葉克介
最終更新:2024/10/15
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