妖術使い・文王


妖術使い・文王

【ようじゅつつかい・ぶんのう】

【人物・伝説】

イラスト:ささきゑびす
イラスト:ささきゑびす

編集中

 文王(ぶんのう)という男は生没年、出自など一切不明。

住所不定、神出鬼没、絶えず放浪の旅を続け得意の幻術で人々を驚かせた。

 

 その文王が出羽国横手に現れてひと騒ぎを起こした。

見物客が集まる中、蛇ヶ崎橋を一呑みにしてみせるという。

ニヤニヤと笑いながら橋を一回りすると、いつの間にか橋は半分ほど文王の口の中に吸い込まれている。これも得意の幻術だった。

 しかし、橋から離れた大杉の上から見物していた男は幻術にかかっておらず、騙されまいとみんなに呼びかけた。

面白くない文王は大杉の男に直接幻術をかけた。

凄まじい響きと共に杉が弓なりにしなり、男は横手川へ放り出されて沈み、二度と起き上がってこなかった。

 

文王は他に居酒屋の馬子をからかうために馬を10頭、徳利の中に放り込んで酒を奢らせるなど、幻術は一流だが性格は問題のある人物だったようだ。


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◆参考書籍

  • 日本の伝説1 北海道/東北 監修 日本伝説拾遺会

最終更新:2024/10/20

【佐藤 至子 (著)/国書刊行会】