餅

【もち】

【習俗、食物】


編集中

・あられ餅

 もち米にふくれ粉やすり大豆をいれてつき、板に薄く延ばして翌日賽の目に切って乾かす。

煎鍋で煎るとふくれて丸くなる。これをあられ餅と言う。


・稲荷餅

 10月10日は稲荷様の祭日で、餅と油揚豆腐などを持って稲荷神社にお詣りをする。

この月は神々が出雲に集まる月と言われるが、 稲荷はその留守をあずかると神とも伝わる。


・馬の餅

 小正月の餅をわら筒に入れ、厨舎の陽光がさしこむ方向に吊し、馬に食べさせたものを馬の餅という。これを食べた馬は丈夫に育つと言われた。


・オカの餅

 鏡餅2枚の上にカマ型の餅を乗せて、1年間の感謝を込め米櫃の上に供える餅をオカの餅という

オカのを乗せた鏡餅 は、凍らせて歯固め餅として食べる。


・鉤の餅

 鉤の餅の形は家によって異なり、曲がった形が多い。これを食べると力持ちになると言われ、子どもたちは競って早く起き鉤の餅をとった。


・ササマキ・ヒシマ

 端午の節句の餅を笹の葉で包んだものを笹巻き、笹の葉を三角に折りもち米を入れ、イ草で口を縛ってふかしたものをヒシマキという。

ヒシマキは鐘馗様


・さなぶり休餅

 田植えが終わると、さなぶり休みといって苗3株と餅を恵比寿様に供える。


・四十九餅

 葬式の日49個の小と大きな餅を1つ作る。

49個の餅は寺の本堂へ供え、大きな餅は寺の門前で死者の兄弟がちぎって、後ろ向きに投げた。


・シトギ餅

 生米を水に漬け、水を切ってからついた餅に漬け物を入れて丸めたもの シトギという。

この餅は囲炉裏などで焼いて食べ、祭りなどの年中行事に出される。


・占し餅

 占し(しむし)餅とは大晦日のタ食後、年男が筆で『早生 稲』『中生稲』『晩生稲 』と書いたのこと。

餅は御神酒の入った皿に浸した後、白米を入れた升 におき、餅についた米の


・接客用の餅

 ずんだ餅、納豆餅、胡麻餅、胡桃餅などはお客を接待するとき出された。 ほかにも黄粉、小豆、豆の粉餅などもある。


・雑煮餅

 雑煮は地域や各家庭でいろいろな種類がある。

焼いた角餅と鶏肉や小松葉を入れたすまし雑煮、水煮した丸餅を入れた味噌仕立ての関西雑煮、ご飯を入れた餅粥などもある。


・ぢぞう餅

 鏡餅2枚の上に小さな3組のお供え餅をのせ、その上に更に小さな餅をのせて3段にしたもの。

この餅は大晦日の晩、仏壇に供えられる。


・年祝餅

 男42・88歳、女33・88歳になると正月に親戚を招いて年祝いの祝宴をあげる。このとき引物として、膳に添える紅白の餅を年祝餅と いう。

餅は5人で唄いながら食べる。


・ドップまえだ

 ドップまえだまは各家によってワラの本数が異なり、多い家では30~50本のワラを用いる。

一般の餅玉は小さいが、一番下のものだけ直径3cmほどあり、これをド ップという。


・鉈の餅

 農家に多く見られる柴切鉈に供える餅。

直径6cmほどの餅の真ん中に穴をあけ、そこに縄を通して鉈鞘に結びつけたもの。正月に供える。


・鍋の餅

 正月は毎日使う鍋を伏せて休ませ、その上に紙をしいて餅を供え、大晦日の晩鍋に感謝の手を合わせてから年越しの夕食につく。

餅には3つのつまみあとがあった。


・歯固め餅

 6月1日の作神・水神様の祭りでは、固い餅を食べて歯の根を固め、健康増進を祈った。このとき食べた餅を歯固め餅と言う。

これは凍らせた餅をわらで編み、乾燥させたもの。


・初婿餅

 結婚して最初の正月、妻方の父母に挨拶にいく際持っていく。2つの大きな重ね餅を用意して、1つは嫁方で神前に供え、もう1つは婿方へ返し双方で食べた。


・ボダサレ餅

 4月は農作業の忙しい時期で、昔は普段家の中で食事の支度をしている者もみな外にかり出されていた。このとき食事の代わりに外で食べた餅をボダサレ餅といった。


・まえだま

 仙北郡では多く12本(関年は13本)のわらに餅を巻いてわらを束ねる。その上に穴をあけた傘餅をかぶ せ、わらを通して縄状にし、わらの下の方に小さな玉をつける。これをまえだまという。


・孫祝餅

 初孫が産まれて21日後、親戚や隣人を招いて孫祝いの酒宴を催す。

このとき祝いに添えられた2つの紅白の餅を孫祝い餅という。餅には5合のもち米が使われる。


・箕取り餅

 9月29日の刈り上げの節句についた餅を、 稲2束と稲刈り鎌と一緒に箕に入れて田の神に供える。

もち米は新しいものを使い、供えた餅は10月1日に


・名月餅

 8月13日の豆名月には、名月餅をついて枝豆とジンダ餅を月に供える。

ジンダ餅とは餅にゆでた豆をすりつぶして塩と砂糖を加えたもの。保存はきかない。


・厄払い餅

 男性の2・5・8のつく年、女性の3・7・9のつく年は厄年といい、2月1日には厄災を払うため 餅をついた。

藁のさん俵に御幣を立て、餅とわらじを添え十字路や村は


・やなぎまえだ

 小正月の餅つきには柳の枝に丸餅を沢山つけて、歳取の晩茶の間や神前を飾る。

餅の重みで先の方が下がるので秋のを連想させる。

豊作を願う農民の心の象徴であろう。


・蓬餅

 餅が半分ほどつけた時に蓬(ヨモギ)を入れてさらについたものを蓬餅と言う。

 蓬は一夜水に浸し翌 日水気をよくしぼってから餅と混ぜてつく。


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◆参考書籍


最終更新:2024/10/20

【金森 正也 (著)/無明舎出版 翻刻・現代語訳】
【木崎 和廣 (編集), 鎌田 幸男 (編集), 稲 雄次 (編集)/無明舎出版】