長走


ながばしり

大館市長走長走

 

最終更新:2025/01/28


 

菅江真澄の道
菅江真澄の道
  • 来訪:天明5年(1785)9月
  • 年齢:32歳
  • 書名:外が浜風
  • 形式:日記

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飢餓海峡

 『天明の大飢饉』の死者数は全国で数万人規模と伝えられているが、真澄の記録からでもかなり凄惨な光景が伝わってくる。

とりわけカニバリズム描写の生々しさは下手な怪奇小説よりも真に迫っているだろう。

 

 真澄は弘前、青森から北上し当初の目的地である蝦夷に渡るべく7月に青森の善知鳥神社に詣でたが、飢饉の真っ盛りのため「渡海は3年待て」と託宣を受けて南下したのだった。

【8月10日】

 床前(つがる市森田村)、残雪のように人骨が散乱している。
野晒しのシャレコウベの穴からはススキや女郎花(オミナエシ)が生えていて見るも無残だった。
「あなめ、あなめ(ああ、見ているだけで目が痛い)」
と独り言を漏らす。

《外が浜風》

【9月22日】

 長走の宿で、陪堂(ホイトウ=ホームレスの意)の話を聞く。
『馬も人も食った。人の耳や鼻、馬肉は搗いて餅にしたものは特に美味かった。だが、このことを人に話すことはないだろう。
今あなたに話すのは、話すことで少しでも懺悔の念を示したいからだ。」

《外が浜風》

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長走風穴館

 

 未曾有の大飢饉も今は昔。

現在は国道7号線沿いに風穴館として散策路が解放されている。植物群落の地帯としても楽しむことができる。 


菅江真澄の道 長走


 天明五年(一七八五)九月二十二日長走村に宿をとる。《外が浜風》

天明の大飢饉の様子を克明に記す。

 秋風の誘いひしまゝに蔓さめて 夜半の砧(きぬた)を現にぞきく

平成四年 北秋田郡青年会



標柱は撤去済み。

『菅江真澄の道』標柱は現在は撤去されているが、駐車場からの入口付近に建っていたものと思われる。

 



国指定天然記念物 長走風穴高山植物群落郡

 

・第一号地 大正十五年二月二十四日指定

・第二号地 昭和六年十月二十三日指定

・所在地  大館市長走字長走362-3.4

・所有管理者 大館市

 

 長走風穴の成因は、石英粗面岩からなる間隙の多い地質と地下の冷所の存在という二つの要素による。

そのため、空気の対流作用で夏期は頂上付近の温風欠から吸入された外気が次第に冷却され、山腹の冷風欠随所から冷風となって吐き出し、盛夏でも10℃未満の地温を保っている。

冬期は、逆に温風欠から暖風となって吐き出される。

 このような現象により、わずか標高一八八米地点の、狭い範囲に限定されて数十種の美しい高山植物が群生していることから、世界的にも珍しく、植物分布上も極めて価値の高いものとされている。

秋田県教育委員会 大館市教育委員会




 散策コースはだいたい30分ほど。

途中、風穴の倉庫は3つほど現存しており、入口は封鎖されてますが近づくだけで周辺がヒヤリとしている。

高山植物の咲く季節、避暑がてら訪れるのが最適かもしれない)。

【1号倉庫】


1号倉庫

 石の隙間から吹き出る冷風を利用して、明治から大正年代に、佐々木耕治氏は7つの風欠冷蔵倉庫を建設しました。

主に津軽りんごの貯蔵に利用されました。電気が普及した昭和30年代頃には、ほとんどの

風欠倉庫は使用されなくなりました。

 現在、ここから吹き出る冷風は地下道を通って風欠館内に送られ、天然のクーラーとして利用されています。

 

【2号倉庫】


2号倉庫

 昭和の初めころ、白沢営林署の種子貯蔵庫として造られた倉庫です。

吹き出る冷風は0℃で、外気と触れ、霧状になって漂う。倉庫内の石の隙間には8月頃まで氷が確認できます。




 

【3号倉庫】


3号倉庫

 

 大正の終わりごろ、秋田営林局の種子貯蔵庫として建設、昭和のはじめころに改修されました。とても頑丈に造られています。

 周辺は季節によって、コキンバイ、ムラサキヤシオツツジ、オオタカネバラ、ナンブソウ、ゴゼンタチバナなどが群生しています。





長走風穴館
大館市長走長走362-5
長走風穴館(大館市)
  • 開館時間:9:30~16:30
  • 休館日:毎週月曜日(夏季無休、冬期間中閉館)
  • 入館料:無料

風穴、高山植物の鑑賞

 


人形道祖神集中地帯
松原のドンジン様
松原のドンジン様
寺の沢の道祖神
寺の沢の道祖神
中羽立地区の人形様
中羽立地区の人形様


アクセス

  • 駐車場:あり
  • 案内板:あり
  • トイレ:あり
  • 備 考:風穴館は12月1日~3月31日は冬期閉館。詳細はこちら

関連アーカイブ
  • 矢立峠

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◆参考文献


取材日:2017/06/14

【菅江 真澄 (著), 内田 武志 (著), 宮本 常一 (著)/平凡社】