【にんぎょうどうそじん】
【民間信仰】
赤:標柱『菅江真澄の道』建立場所 黄:
集落の入り口、境い目に立って疫病や厄から村を守るとされる人形たち。
塞の神や道祖神に中国の鹿島神や鍾馗などがごっちゃになって独自の民俗信仰が確立された。
村によって色んな姿がありバリエーションに富む。
過去に行われた人形作りが廃れ、石碑に代替されたもの。
または最初から石を道祖神に見立てたもの。
・大仙市土川 半導寺の牛頭天王
・大館市十二所 別所の道祖神
過去に藁で体を作っていたが廃れ、お面のみを集落に立てたもの。
・大仙市 中仙 オニョ面
・仙北市 田沢湖 オニオウ面
石塊に藁で装飾して祀る。手足は省略し道切りとセットに立っているものが多い。
かわいい。
・湯沢市 稲川のニンギョ様
子どもから大人のサイズの等身大。
男女各2体ずつ作られ集落の出入り口に1体ずつ配置される。
武器は槍や刀の他、装飾も多彩。
2~3m級。
男根も巨大。自立が難しくなってくるので木や添え木を背にして支える。
・湯沢市 三ツ村の鹿島様
・仙北市 西木町畑中の仁王様
・湯沢市 岩崎の鹿嶋様
・横手市山内 田代沢の鹿島(カシガ)様
レアケース。
藁ではなく木組みで元ネタの姿を再現している。
大きすぎるので神社の境内の一角に祠を設けて祀る。
大館市のごく一部に見られる。
・大館市花岡 本郷神明社のショウキ様
・大館市花岡 根井神社の太平山と仁王観音
樹木に藁を巻きつけて大蛇に見立てる藁大蛇や巨大な大ワラジ、木刀のみを指した簡易的なものなど、いずれも人形が変化したもの。
・由利本荘市 東由利の藁大蛇
・横手市 醍醐の大ワラジの鹿島さま
・横手市 樋ノ口の蒭霊(クサヒトガタ)
年に1回、もしくは秋冬の2回に人形の衣変えを行う。
また、田植行事やサナブリの一環として道祖神を担いで集落を巡回する祭礼が行われる場合もある。
真澄が秋田を巡村した中で多くの道祖神を記録に残している。
その中で特に印象に残ったものはスケッチ、あるいは俯瞰の地誌に位置関係を描き図絵に残している。
・桐内の泥塑天子(享和2年(1802)《雪の秋田根》北秋田市森吉)
・樋ノ口の蒭霊(文政9年(1826)《雪の出羽路 平鹿郡》横手市平鹿)
・半導寺の牛頭天王(文政10年(1827)《月の出羽路 仙北郡》大仙市土川)
⊞塞の神・石敢当・庚申信仰
同じく村境に厄除の祈願として建立される石碑で、しばしば道祖神と混同される。 塞の神は男根を象った性神として金精様とも呼ばれる。 石敢當は元来中国伝来で沖縄地方に多く見られるが、なぜか秋田にも多い。◆参考文献
- 日本の神様読み解き辞典/川口謙二 編著
- 人形道祖神 境界線の原像/神野善治 著
- 各種説明板・標柱
最終更新:2024/10/10
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