御代ノ松/千代ノ春


御代ノ松/千代ノ春

【みよのまつ/ちよのはる】

【酒】


 

 菅江真澄が文化11年(1814)、雄勝郡調査の際に世話になった佐藤太治兵衛家のために名付けた酒の銘。

 

 佐藤太治兵衛家は当代から酒造業を営んでおり、真澄は文書にて『御代ノ松』『千世ノ春』という銘を記して日本書紀の一文を引用し、この酒を飲んで長生きできるようにめでたい名前をつけたと書いて贈った。

 

真澄の教養人としての洒落の効いた面目躍如である。

 

酒銘(真澄研究第23号 翻刻/松山 修)

 

御代ノ松

千世ノ春

 

伊伝波ノ国雄勝郡川向荘

菅生菅生村なる佐藤氏ノ家に

文化四年丁卯ノ秋を始に皆湍(ミナセ)河の

水もてかみしたる酒の世にことによけく

うまざけのゑがの市路(イチジ)にあら

なくに四方八方(ヨモヤマ)の人とらこれを

飲まくほりしてむれいたる

うべもみなせの水きよく

村のすがふのすがすがしく

此水上に御代繁り山あ此山の

松の露落添て此醸

酒に酔らむ人はちとせの

齢を経(フ)べきおもひして

此酒なむ 御代ノ松

千代ノ春と名づけて

よめる歌ひとつ

 

菅江ノ真澄

 

御代の松栄行千代の 春のみかとかへりも

花さける見む

 

文化十一年ノ秋

 


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◆参考文献


最終更新:2024/10/19

【菅江 真澄 (著), 内田 武志 (著), 宮本 常一 (著)/平凡社】