たつこむらのやくし
山本郡三種町下岩川~森岡
最終更新:2024/07/09
- 来訪:文化3年(1806)3月
- 年齢:53歳
- 書名:かすむ月星、小町の清水、他
- 形式:日記、図絵
真澄記:
花見見物のため、子供たちを連れてのゆるりとした旅路を行った。
《かすむ月星》
📍 標柱データ
あ
文化3年(1806)の旧暦3月、この時期の菅江真澄は一人旅ではなく、逗留先の地元の知り合った人や子どもを複数人連れて桜や梅、鳥などを探しに散策する日が続いた。
《かすむ月星》にも描いた桜が咲いた風景が多く描かれている。
実際に真澄がこのルートを辿ったときは他にも方々に立ち寄っているが、ここで「桜」をテーマとして3カ所(+1)をまとめてピックアップする。
◆達子村の薬師
●真澄図絵
真澄記:3月12日
知人と子供を誘い、数人で桜見物に出かけた。ムクドリやウグイスのさえずりを聴きながら森岡(森丘)を眺める。
烏帽子長根から達子の部落へ入る。案内役の近藤伝吉という少年のもとで休息を取り、常楽寺の薬師堂で桜を眺める。
⊞ 真澄記・森岡の奇怪な話《かすむ月星》
砂子沢の沼では雨乞いの祈りが行われる。
茶毗(だみ)の沢という深い谷には、塚原(埋葬地)があり、死骸が散乱している。今も生首が転がっているのをたまに見る。
(『かすむ月星』)
《かすむ月星》
真澄を案内した近藤氏の家系は現在も存続している。
◆宮ノ目の大桜
●真澄図絵
真澄記:3月15日
連れ立った数人と長面の部落を出て宮ノ目の齢経た姥桜を見る。そばに寄ってみると、掘り出された阿弥陀仏の石碑が建てられ祀られていた。
《かすむ月星》
◆小町の清水
真澄記:3月15日
小町村に来た。
小野小町のゆかりのある清水が清らかに岩川の東の岸に落ちていた。鬼首山権現の森の桜もようやく咲いている。
《小町の清水》
小町の清水は《花の真寒泉》にも取り上げられている。
◆森岡の壟桜
●真澄図絵
真澄記:3月18日
二ッ森を経て森岡の近くにあった、道の傍の壟(つか)桜は趣深く咲いていた。
《かすむ月星》
【周辺スポット】
◆石井漠生誕の地
日本創作舞踊の先覚者で大正時代から昭和前期にかけてドイツ・ヨーロッパで活躍した石井漠の出身地。
県道4号線沿いに顕彰碑が建つ。
◆岩川水系米
宮ノ目地域で栽培されているあきたこまちは地域ブランド米として推されている。
真澄翁が森岳の逗留先で見た、近隣の名物を列挙した書物『山本郡名物往来』にも水沢の米を挙げている。
《おがらの滝》
石井漠(Wikipedia)
- 駐車場:なし
- 案内板:なし
- トイレ:なし
◆参考文献
- 菅江真澄遊覧記第4巻/菅江真澄 内田武志・宮本常一翻訳
- 国立国会図書館デジタルコレクション
- 栗盛記念図書館 菅江真澄著作集
取材日:2018/04/28
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